トゥールビヨンとは

トゥールビヨンとは、1800年頃に、天才時計技師アブラアム・ルイ・ブレゲ氏によって、発明された複雑機構です。 姿勢差によって、誤差が変化するという機械式腕時計の弱点を克服するために、機械自体を回転させる事によって、姿勢を平準化しています。 非常に複雑な機構であるため、20世紀後半には、世界でも製作出来る職人は10人に満たないとまで言われ、ミニッツ・リピーター、永久カレンダーとともに、腕時計の三大機構として並び称されています。その他の2つ、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダーが、時計機能に追加して作られる機能であることに対し、トゥールビヨンは時計機能の基本構造自体を改良しており、発想のユニークさは群を抜いています。

トゥールビヨンの必要性

テンプを稼働させる要のヒゲゼンマイは、例えば時計をポケットに入れたままにした時など、どうしても重力の影響を受けて微小なたわみが生じてしまいます。また、ガンギ車を円滑に稼働させるための油にもへだたりが生じてしまいます。(現在では、ヒゲゼンマイの材質強化によって、たわみが生じることはほとんど無くなっています。) このたわみによる誤差の変化を姿勢差と呼びます。この姿勢差を無くすため、飽くなき精度への探求として、トゥールビヨンは生みだされました。

トゥールビヨンの仕様

トゥールビヨンは、通常秒針が取り付けられている四番車の上に、キャリッジと呼ばれるパーツを配置し、その上に脱進機と、調速機を丸ごと載せています。 四番車は固定して、回転しないようにする代わりに、三番車からの動力をキャリッジに伝えますので、キャリッジが回転することになります。 キャリッジからは、ガンギ車がはみ出ていて、これが四番車とかみ合いながら、四番車の周りを回ることで、60秒に一回転で回ります。 このようにすることで、テンプ、ガンギ車自体が均等に回転をするため、ゼンマイのたわみや、油のへだたりが均一化されて、結果として姿勢差が解消されます。

トゥールビヨンの難度

トゥールビヨンは、非常に複雑な機構のため、150を超える微細なパーツの組み立てが必要になります。そのため、精度を出すことも非常に難しく、この辺りの調整が甘い時計では、たとえトゥールビヨンであっても、誤差は通常よりも大きくなり、本来の精度向上という目的を果たすことは出来ません。 この微細な調整は、高い技術を持つ職人の感覚によるものとなり、量産化出来ないことが、トゥールビヨンが高額となる理由の一つです。 また、通常よりも大きなトルクを要する為、キャリッジをはじめとするパーツの軽量化が必要となったり、パワーリザーブが短くなりがちという課題もあります。